女郎花

タイトルは『嘘月』ですが、読んでるこちらが時に苦しくなるほどの本音を吐き出しているかのような詩文は、暴力的な静寂のベールの向こうから、朧げではあっても美しい灯りで、人の心の暗い部分を照らしているかのようです。 キャッチコピーにある「月の裏、月の核」に、なるほどと頷けます。きっと(憶測ですが)、著者様は、これまでの人生の中での絶望的な夜(日)を、月の光と対話して(実際には声に出さずとも)、救われてきたことがたくさんあるのではないでしょうか。 ここにはたくさんの嘘月が出てきます。著者様のその日その時の心の闇を照らす月の光が、文面からはみ出してこちらをも照らすかのような詩文もあります。 嘘月の「嘘」の部分は、どんな醜悪な現実でもほんの少し美化してみせてくれる「月明かり」なのかもしれないですね。 時には美しい夢を、時には狂気や畏怖の念を語りかけてくれるような月。空に浮かぶ月だけが本当の月ではないようにも思います。 一篇一篇、何度も繰り返し読んで、月の裏と核を探って味わってほしい、オススメ詩集です。 ★★★★★★★★★★ どの「嘘月」もそれぞれ素晴らしいのですが、 74頁「ましな月」 108頁「月と雲」 が、個人的にメチャお気に入りです(汗)
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いつもお褒めいただきありがとうございます。自分でも難しい詩だと思うものもあります。こんなに読み解いていただけるとありがたいです。

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