千古不易

イベントより参りました、初めまして。 早速レビューさせて頂きます。 この作品を一言で語るなら『季節が拙い』です。 誤字脱字は多々見受けられましたが、作者様が推敲して頂ければ問題なさそうなので任せます。 地の文は『俺は』のような一人称からの言い回しがかなりあり、文章の流れを邪魔していますね。一人称と言えば、態々『俺は』等言わずとも書ける書き方の一つであり、如何に『人称を使わずに一人称を書く』かが重要です。度々『俺は』『俺が』等々文章の先頭に付くと見映えが悪くなり折角の文章の美しさを欠く場合があるからで、上手く活用すればより効果的な一人称を使えます。 描写で補い、人称を極力避け、正しく伝える事が出来るようになれば更に良いかと。気になった点ですが、主人公の心情を括弧で囲む必要があるのか、ですね。主人公視点の一人称ですから、囲む必要性はないかと。 上記に戻りますが、季節は夏、しかしその夏らしさが強く伝わらない。夏らしい描写はあるにはありましたが、一人称ならではの汗や湿気、熱、火照り、或いは渇きに対する心情描写が粗く、夏であるのに風景が淡白でしたね。文章が洗練されておらず、読むと時折引っ掛かるのも夏らしさを損なっています。 小道具、小さいながら『夏らしさ』を引き立てるものが少ないのです。仮に、汗がアスファルトに落ちると忽ち蒸発しますし、アスファルトは太陽の熱で熱され、空気は熱さに歪んでいたりもします。直射日光では汗がどう滲むのか、ただ暑いや熱いだけでなく、臭い、色合いや音に感触、五感の全てを揺さぶる描写が少ないからこそ『季節が拙い』と述べました。 敢えて夏を選んだのならば、風景、心情、物語の進行に合わせ作者様なりの夏を文字に落としてくださいませ。もっと繊細に、夏を連想させる仕草、気に止める事のない言動、物語の一切れでさえ夏を帯びる描写を磨けば格段に世界が色付きます。 噛み砕いて述べると、季節、風景、人物の描写が、悪気はないのですが、拙いです。人物の描写も典型文を張り付けたかのようになっていて、実に勿体ない。作者様の心から捻り出る思いを、苦しみながらでも文字に落とす、これが書く事です。作者様ならではのキャラクターを生かす書き方、言葉、また風景、心情を今一度熟考して頂ければと愚考しております。 ではまたの日を。なにか質問があればエッセイにでも気楽にどうぞ。

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