autumn

普通に書籍本読んでる感覚に近いですね。 一貫して曇り空が晴れない様子を綴るように少し重いテーマを扱ってたりします。 両親が殺人犯という息子が語る内面世界は、同年代の若者とはかけ離れた視点で気怠くどこか他人事のようで、 加害者家族という消すことのできない現実は根付き、彼の中に潜む鬱積がリアルに描かれてます。 生に対して貪欲とは言い難く、かといえば的を得た刺すような描写が流れを引き締めていて、 関わるのが面倒としながらも かぐやとの狙ってない淡々とした会話の掛け合いは巧妙で居心地がよく、それは彼に徐々に変化をもたらしていきます。 移入するほどに、鬱屈とした思考回路に嵌まっていきます(笑) かくやが握っている両親の事情は、加害者と被害者の境界線はどこまでも曖昧なものを示し、 彼女が秘めた破裂寸前の罪悪感は八月朔日によって受け止められた気がする。 彼もそれで、何となくとか念のために生きるから脱却するのかもしれない。 話が進むにつれ欠落した感情に何かが灯っていくようでした。 人は加害者を責めるあまり、その血筋となる領域まで攻撃してないか、 日頃の鬱憤まで込めて見境なく他者を攻撃してないか考えさせられる。 加害者と加害者家族の違いは明確だ。 社会には人を卑下する感情が土台に渦巻いてることが読み取れる。 八月朔日とかぐやを見てると捨てる神あるなら拾う神ありと思った。
・1件
コメントありがとうございます!

/1ページ

1件