梅虎

『よぉ。久しいな』 「…」 『何だその…疑わしげな目』 「…一七の…更に烏滸がましく面倒そうな方の土方では無いだろうな?」 『ッ…どういう意味だテメェ…つか見て分かるだろがよ』 「俺は寿以外は―」 『鹿のフンってか』 「鹿のフンと言えば…梅虎から中秋の日に荷が届いたが」 『あぁ…小っせぇ小っせぇ三方に月見団子状の飴…だがありゃ鹿のフンよりも小っせぇ飴―…おい。鹿のフンで思い出させんじゃねぇよ』 「月と兎の干菓子も喜んでいた…あの様な飴もあるのだな」 『梅虎が良く行く飴屋にあったらしいぜ?団子状の飴たぁ…』 「食べたのか」 『莉亜は…勿体無ぇつってよ。過ぎたってのに…フッ…大事に眺めて食わねぇんだぜ?』 「寿は…直ぐ食べた…団子状飴だけではなく三方も食べられるかもと言って…ブェッとした」 『…性格だな…』 「到底足りぬと俺も団子を作った」 『だろな。今年は正に名月だった…昇って来る時のデカさ然り、ぽっかり浮かんだ後の美しさ然り…最高だった』 「天候もかなり良い状況…梅虎の呪いが効いたか」 『呪い…お前さんが言うと洒落なんねぇ気がすっからヤメロ。何にせよ拝めて良かったぜ』 「翌日のスーパームーンとやらも良かった」 『す…?翌日の満月か?ありゃデカかったな相当』 「だが…昔の方が大きかった。寿に見せてやりたいものだ…」 『そういや…ちったぁ話進んだじゃねぇか』 「フ…ほんの僅かだが。恐らくあの飴も詫びの貢ぎ物」 『…で?お前の気は済んだってか。女の喜ぶ顔見りゃ…』 「仕方あるまい…」 『だよな…男(俺達)って奴ぁ…フッ…しょうがねぇ』 ホッ… 「『うん?』」 … 『…気のせいか』 「只の最下級妖しだろう」 『けッ!違い無ぇや』 「コイコイの話も進んだが一応…貴様らも仕事をするのだな。俺達は何時―」 『俺に聞くな。俺ぁ土方歳三であって土方隼人じゃねぇぞ』 「土方が三人居たとは」 『一人だっての。お前もヒトの事ぁ言えねぇだろがややこしい全くややっこしい』 「寿は何時も星などを感謝している」 『無理矢理だな話の変え方が…まぁ確かに言ってなかったか。何時も恩にきる。そういやもう少しで星が大台に乗るな…』 「吃驚ぽん」 『…朝ドラ面白ぇよな…』 「…何か礼を」 『すんのか梅』 …汗 『兎に角。何時も有難よ』 「身体をいとえ人間」
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