ねたふり狸

(応援) 樹齢三百年以上を数える大樹は、『長老の樹』と呼ばれ、生徒達を見守ってきた。 若さが弾け活気が溢れる『生』も、ひっそりと暗闇に沈んで行く『死』も。 この作品は2010年に完結されましたが、読み返す度に、『長老の樹』が実に上手く使われていると感心します。 どの辺りが上手いのかはネタバレになりますので伏せますが。 少女の失踪から始まる事件は、切なくて、物悲しくて……、解決しても、少しやるせない。 他のレビューでも語られているのですが、この作品は『犯人当て(フーダニット)』ではなく、『何故起こったか(ホワイダニット)』が本筋と言えるでしょう。 だからこそ、最初から最後まですべてを見てきた『長老の樹』がタイトルとして掲げられていることに、読了後感嘆するのです。 折房ミステリの面白さは、不可解な謎と精緻なトリックとフェアプレイ精神息づくストーリー展開だけではありません。 事件解決の爽快感だけではなく、しんみりとした余韻も面白さの一つです。 しかし、作品の内容に触れると全部がネタバレになりそうで、謎解きを目的に読まれる方には紹介しづらいです。 「最後にどんでん返しがあるから詳しいことは言えない、とにかく読んで!」としか言えない。 願わくは、亡くなった少女に冥福を。 苛まれ続けてきた関係者には安寧を。 事件を解決に導いた『トミーとタペンス』には、明るく微笑ましい未来を!
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レビュー、ありがとうございます。 最後の祝詞、良いですね。何処かで使いたいくらいです。 この話はものすごく単純な発想から作ったので、その分心情に力が入ったのかもしれません。 私個人としてはそんなつもりは無かったのですが…… トミーとタペンスは、きっと上手く行っていると思います。 何処かで書ければ良いのですけど。

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