藤白 圭

 戦争や宗教、そして政治。  世界各国で実際に起きている重いテーマを用いているだけに、専門的な用語や知識があちこちに含まれているにも関わらず、それがナチュラルに読めるのは、作者の文章力のなせる業だと感心しました。  これもみな、主人公である、限りなく一般peopleな大学生である島君の視点で描かれ、初っ端の衝撃的な島君の騙され入隊シーンに始まり、読者も島君になりきって、悪態をつき、哀しみ、成長し、意識が変化していくのを体感できるからではないでしょうか。 それだけ、描写が細かく、それでいて、「俺は、これだけの知識を持っているんだ!凄いだろう!!」という、戦争や軍事ものにありがちなドヤさ加減がなく、あくまでも、主人公が目にし、感じたものを描いているような、臨場感あふれる文章だからこそだと思います。  しっかし。  これ、本当に10代の方が書かれているのでしょうか?  と、疑うほどの内容。  まだまだ序章なのに、濃い。  濃すぎます!  これは映像で是非観たい。    レジオネール戦記はシリーズものですが、まずは、島君がいかようにして、戦士になったのかが描かれている序編。  これを見ずして、レジオネールは語れない!  戦争物が苦手な人でも、映画を見ているような感覚で楽しめる作品。  是非、皆さんに読んで頂きたいと感じました。
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