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【戦隊モノってどんな作品? 3】 「はああ!?俺がアイドル!?」  色濃い青空を裂くように、すっとんきょうな悲鳴が響き渡った。  季節は夏まで遡る。勇太郎たちが三年生に進級し、葉月がウルティマレンジャーに加入してからようやく一年。そこから更に璃理が加入し、明人やあいを中心とした騒動もようやく収拾がついて夏休みまでの数週間を待つのみとなった。そんなとある土曜、いつものように他のメンバーと共にオフィスに招集された勇太郎は、突如として言い渡された任務に頭を抱えた。 「戸惑うのは多いに分かるわ。でもね、勇太郎くん。これは上で決定したことなの。納得してちょうだい」  勇太郎の動揺を気にせずに、カヲリは淡々と説明を始める。 「極致正義は民間へのPR活動にも力を入れているわ。今年に行われる地方支部巡礼も聞いているでしょう? もっと極致正義のことを理解して、既に応援している人には満足してもらえるように、人々に存在を認知されないといけないの。その為には、俗な言い方になっちゃうけれど、あなたたちの容姿を利用しない手はないのよ」  ぎらりと、カヲリの眼鏡の奥の瞳が怪しい光を放つ。 「勇太郎くんの王道イケメン顔! 明人くんのあざと可愛いベビーフェイス! 零士くんのツンデレおかんクール眼鏡! これは、人気が出るわよ……出ないわけがないでしょう!?」  鼻息も荒く、いかに彼らが魅力的かを語るカヲリ。妙に熱のこもった演説に聞き入っていた他のメンバーだが、それぞれの名前を出されてびくりと体を震わせた。 「ちょおーっと待ってカヲリちゃん! えっ、俺もやる、の……」 「来宮上官、適材適所と言う言葉をご存じです、か……」  慌てて確認を取る明人と零士を、カヲリは滅多に見せないような満面の笑みで黙殺した。 「明人くんのその類稀なトークセンス、見た目の華やかさ、器用さ、そして敵も味方も全員騙しきる演技力はぜっっったいにアイドル活動に活かせるわ。むしろ、活かさない手があるの? いや、ない!!」 「まあ、確かに俺は基本なーんでも出来ますけど……てゆーか、敵も味方も騙す……その節は本当にすみませんっした……」
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