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【戦隊モノってどんな作品? 5】 「頑張ってね、勇太郎! でも、他のアイドル相手に浮気とか、嫌だからね?」 「ばっか、アイドルだろうとモデルだろうと、あいより可愛い女の子がいるわけないだろ」 「もうやだ勇太郎ったら……!」 「はいはい、バカップル乙ー」  一度受け入れてしまえば嫌な感情を引き摺ることもなく、にわかにごちゃごちゃと話し声が増える。 「あのー……その、ジミドリはやらないんですか?」 「なっ……余計なこと、言うなよ」  そんな中、共に話を聞いていた璃理が、今の今まで存在にすら触れられなかった葉月を指差して訊ねた。  無邪気なようでいて残酷ともとれるその質問に葉月はひくりと顔をひきつらせる。 「あっそうだ葉月ちゃんもいたんだった」 「…………」  忘れてたと軽口を叩いて笑う明人を軽く睨む葉月だが、まったく相手にされない。不快感と惨めさばかりが積もる一方だ。  そんな葉月を見て、これまたカヲリまで困ったように眉を寄せる。片手を頬にあてて溜め息を一つ。 「それがね、勇太郎くん、明人くん、零士くんの三人が先に決定しちゃったから……既に、五人中半分以上を極致正義から出すじゃない? これ以上は人数増やせないのよ」 「ちょっと待ってください、カヲリさん」 「五人中三人ってどういうことっすか? 極致正義からって……」 「あら、言ってなかったかしら?」  予期していなかった方向の新情報を聞いて、慌ててアイドル組が詰め寄る。嫌な予感にだろうか、揃って顔を強張らせた三人にカヲリは静かに言い渡した。 「今回プロデュースするアイドルユニットは五人で他一グループ。極致正義と――そして、絶対正義のPR、 両組織を知らない人が混合しないように常に“比較”が出来るようにと、各々精鋭を出す事になったの」  絶対正義――その言葉を聞いた明人の肩がぴくりと揺れたのを、後ろから眺めていた葉月は気付いた。かといってどうすることも出来ずに、ただ、中途半端に視線を泳がす。  そんな葉月には気付かずに、カヲリは、重大任務に挑む際の司令官に相応しい表情で三人をしっかりと見据える。 「いい? 三人とも。今回の任務、一筋縄ではいかないわよ」
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