みたむら裕

【多重債務者の交差点】 http://estar.jp/.pc/_novel_viewer?p=1&page=1&w=23846051&ws=0 生さぬ仲を端に高1年の佐久間一郎は喧嘩に万引、不純交遊と家族の厄介者。 あげく懲戒退学、転校先でも登校拒否、2年もたず放校処分、遊び人の道を歩む。24才のとき父から「これで独立しろ」の一言で縁を断つ。 佐久間のささやかな一国一城はバブル景気に乗り万札が乱れ飛ぶ多角経営。 大船に乗った自信過剰は二つ返事で借用書、2口の連帯保証人欄に署名捺印をする。やがてバルブが弾け2人の債務者が自己破産、 佐久間に「おいこら」取り立てが始まる。金銭感覚が麻痺した自転車操業は融通手形乱発と不渡り、債務額は6500万円に膨れあがる。 見栄にプライド、金を貯めず多角経営で墓穴を掘った結末は自己破産申し立てしか他なかった。佐久間は自暴自棄、酒に溺れ敵対に明け暮れ転落するも、バブルで堕ちた体験を軸に多重債務者を救えないかと真剣に腕を組む。 こうした経緯から行政書士資格を得たが役不足、弁護士法違反しない限り借金という名の交差点で屯している多重債務者達は救えない。佐久間は腹を括った「そんときはそんとき」と。 こうして沖縄から霧島へと、屋号「多重債務カウンセリング〇△X」を背負い移動、青色吐息の多重債務者に対応していった。 人生はいいこと悪いことの繰り返し。その一つ一つの過去に家出して18年、消息不明になっていた佐久間の妹が兄と知らず突然「ご相談があります」と電話してきたが、圭子の不運は連鎖反応、この機を境に地獄への片道切符、最悪の火蓋が切り落とされた。 過去、圭子を裏切った佐久間、その償いを含め「死にたい」と悔む圭子に尽くすが、次々に不幸が襲う。ヤミ金、2号契約、内縁関係の空中分解、子宮破裂、脳性麻痺赤児絞殺、自殺未遂、逃亡。もはや手の施しようがなかった。 佐久間は圭子の私物を整理「いつか連絡がある」で奄美に飛んだが一の裏は六、兄妹の縁は儚く途切れてしまった。 前編/終わり

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