鮎川 未夢

毎回のように基さんの文章に泣かされてしまうので、やはり読むときは、それなりに覚悟して読み始めます。 今回こそは泣かされないわ!と息巻いておりました。 短編でありながら、読み応え抜群。どっぷり世界観に入り込んでしまいました。 タバコと珈琲の演出もさりげなく優しかった。序盤のあのシーンは純文学のような幻想的な描写でした。それでいてタバコの匂いさえも漂ってくるリアリティを感じました。 あの珈琲、苦みに特徴があるのに。子供には飲むのが辛かったんじゃないかな?そう思うと晶一の不器用さに切なくなりました。家族を愛しているのに何故そのようにしてしまうのか。そして父親の覚悟も知ってしまう晶一。 家族の大切な場所を守るため、何も持たず出向いた。私にはそれがあの世界から一歩退くことのような決意のような気がして。 お前は、お前なんだろ、と 秋則が晶一の存在を認め呟くシーンでは……ダメです。今回もジワッとこみあげてきました。 そして秋則が男に向かって叫ぶシーンでは……今回も見事に涙腺崩壊に。台詞の中の温度が微妙に変化していく過程。それが特に揺れる心を醸し出されていてジーンと響いてきました。
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未夢さん、素敵なレビューをありがとうございます。 互いに反発しあいながら、でも一番根っこの部分では共感するものを持っている、不器用な兄弟。 長い時を共有していないので、どこかぎこちなく。それでも、自分のやり方で家族を大切にしている。 そういうもどかしい関係を、秋則が男に叫ぶシーンで、やっと言葉にしているんだと思います。 深くくみとってくださってありがとうございます。 マンデリンフレンチ、苦いですよね。 晶一はすごく背伸びしたんでしょうね。そう考えると、書いた自分でも可愛くなります(笑 二人の兄弟に気持ちをお寄せくださってありがとうございます。 また励みにさせていただきます。m(__
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