暗化月 卿

/_news_view?cn=2489010 雨の日の中、珍しくもなくいつも通り人気が少ない町を田宮 狛はベンツのS600完全防弾車に乗って走っている。 はたと、田宮は何世紀も昔からそびえ立つ大きな大聖堂の前で車を止めた。 メン・カトリアル大聖堂 車から下りると、焦げ茶色の革製ロングコートの裏ポケットから写真を出す。 写真にはこの大聖堂が写っていて、雨に濡らされた。 写真から目を離し、また大聖堂を見る。 そして、真っ直ぐ歩き出した。 大聖堂の大きな入り口を通ると中庭に出る。 そこには沢山の黒ずんだ車が停まっている。 「ここはパーキングエリアか?」 写真を戻しながら田宮は呟いた。 田宮はハーレイのXLCR-1000を探したが、バイクはなかった。 すると、目の前の柱の下にスーツのゴツい男が2人立っていた。 何か話しているわけでもなく、2人は支柱の下で雨宿りのように立っている。 田宮は雨にうたれながら2人に近づいた。 奥が入り口のようだ。 2人の前に立つ。 「何の用だ」 男が言った。 「招待された者だ」 田宮が答える。 「それにしては遅いな。L.P.A.バッジと身分証を出せ」 「あー、さっき無くしたんだ。それにしても今日は酷い雨ですね」 男は2人とも、1歩田宮との距離をつめた。 「引き返せ」 「ことわる。暗月に用があって来た」 すると2人は黙りこんだ。 そして田宮の行く手をつくり、田宮は入り口に向かった。 男は耳に手をやると、何か言った。

この投稿に対するコメントはありません