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演じようのボツ案。 紫と青の光のせいか邪悪な、しかしどこか高潔さすら感じるその空間には三人の男女がいた。 「ウィルス公爵、私の姫を返してもらおう!」 豪奢な金と白で誂えられた、綺麗な服をまとった王子が剣を突き付けてそう言い放つ。 その姿は堂に入ったもので、流石演劇部なだけある。 「……好きにしろ」 たった一言。しかしその言葉には深い苦悩や、計り知れない重さがある。 ウィルス公爵と呼ばれた男は、表情を全く変えることなくゆっくりと足を組みかえる。 「なっ!?」 王子は勇み顔から一転、驚きと困惑が混ざったような顔になる。 奪われた姫を取り戻しに来たというのに、相手から告げられた言葉が"好きにしろ"であったらそれも当然のことだろう。 けれどその驚きの中にはそれ以外の驚きも混ざっているようにも思える。 「もう、いい。娘、お前も好きにしろ」 少しの間の後公爵は無感情だった顔に、少しの諦観を滲ませる。 「っ!公爵様っ」 娘と呼ばれた姫は重そうなドレスを気にもせず公爵にかけ寄りそう叫んだ。 ーーーーーーーーーーー ここまで書いてふと我に返りました。 因みに配役は、 公爵→海 王子→海を誘った人 姫→王子と同じく演劇部所属の人 ってな感じです。 本編には載せる機会ないけど、このまま載せないのも勿体無いという貧乏性からこちらに載せました。 ここまで読んでくださりありがとうございます。

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