夏月 海桜

遥かなる古の時代に精神が飛ぶ主人公は、その時代に間違いなく存在した人間の目を借りて、様々な事柄を見聞する。老若男女を問わずに。それはまるで主人公が経験をしているかのような描写で、リアリティー溢れる描写に巧いな、と唸ってしまう。また、琴(キン)という楽器を広く知らしめたい、という著者の気持ちが現れていることがよく解るのも、本作品の魅力だろう。人は、自分が興味を抱いたもの、好ましいと思うものを、他者にも好かれたいと思うものだ。それをただ教えるのではなく、壮大な物語を絡めて教えられては、こちらの想像力と好奇心とが掻き立てられて、興味を抱いてしまう。その巧みさには脱帽するし、著者のそんなお手並みが読者は嫌、どころか喜んで受け入れてしまう。読者ごころを掴んで離さない、そんな著者の作品に心地好く浸るべきだ。 尚、多少のネタバレ感は否めないが、嬰ちゃんは子解とああなってこうなって、最後にそうなったのか!!と目が潤んでしまった……。だけど、嬰ちゃんは、僅かな間でも幸せだったんじゃないかな?と思いたい。
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大変有難いレビューをありがとうございました! 周雅が幸せだった頃の話を書きたかったのに、琴と絡めて描きたいと思ったら、とんでもなく古代に飛んで行ってしまいました。紀元前の日本列島を描くとは、我ながら思ってもみなかったです。その分、かなり自由に描けましたが。 本編では琴を押し付けまくっていたので、こちらは然り気無く押し付けてみました。お読みになって、興味を持って頂けたならば、幸せです。今後も失われた日本の一文化の存在を、皆様に知って頂けるよう、努力したいです。 嬰は私も幸せだったと信じたいです。琴・「秋声」を手にした周雅や清花の姫君の運命を思うと、何とも言えなくなりますが……(^o^;

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