赤羽道夫

読了しました。読みやすい文章でした。 家族をもったきょうだいに、異物が入り込んだような違和感を覚えて、いたたまれなくなってしまう、というのは、思ってもみない感じ方でした。 そんな彼女に、志弦はあまりに子どもすぎて、たぶん事故がなかったとしても、長続きはしなかったろう。 悠里の事故死によって、志弦はショックを受け、悠里への理解が足りないことを知りますが、描きたい主題がそれだとすると、丁寧に描かれていた悠里の描写が宙ぶらりんな感じがしました。悠里の目を通して志弦の行動は描かれていて、後半の志弦の描写につながりますが、じゃあ、悠里は? 読者は、悠里がどう成長していくか、を追ってきたのに、描かれたのは志弦の心境で、いいかたは悪いですが、出汁に使われた悠里はかわいそう。 せめて、事故死する直前でも、悠里がなにを思って死んでいったのかを、描いてほしかったですね。

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