絹空 蕨

レビューをさせていただきます。 3人の会話はとても楽しげで思わず口元の緩む場面も多かったのですが、読んでいてどこか遠い目になってしまう感覚を味わいました。 言葉にするのが難しい切なさというか、感慨深いというか、そんな感覚です。 次いで、文字を巧みに扱う描写は見事です。男の子を送り届け恵理子と手を繋ぐシーンは特に秀逸でした。言葉一つ一つが声として僕の耳に届いて、さらにそれが優しくフェードアウトしていくようでした。 短い物語の中に散りばめられた多くの感情に惹かれる、これぞ短編小説の醍醐味だと思います。 長くなってしまいましたが、終始素敵な作品でした。心が満ちるというのはこういうことなのだろうと久々に実感できて、とても嬉しいです。 まとまりのないレビューですが、ご了承ください。
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