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送り火
夜雨
2016/7/15 23:02
元気なおじいちゃんだなあ、とのほほんとする祖父母と孫の物語。 ギターをかき鳴らしてハーレーを乗り回すというロックでファンキーなおじいちゃんと、夫を尻に敷いているが優しいおじいちゃんとラブラブなおばあちゃん。 こんな性格の祖父母欲しかったなあ……。 人は生きている限り、大切な人たちが先に旅立っていくのを見送らなきゃいけません。それは、早ければ子供のうちにも対面してしまいます。大体の人は大切な人が亡くなってから、「ちゃんと話しておけば」、なんて後悔します。 けれど、主人公の孫太郎のように幽霊を見る力をもたない私たちは後悔を抱えたまま生きていきます。 孫太郎のように力があれば、盆だけでも死んだ祖父母たちに会えます。それは一見喜ばしいことのようで、けれど、生者がいつまでも死者に囚われる、ということでもあるのです。 年に一回しか会えないからとそれを理由にして、かつての部活の仲間たちから逃げようとする孫太郎。祖母は「私たちは所詮死者よ」と冷たくも思える言葉を投げかけますが、その後の「見守っているから」という言葉。生者が「おばあちゃんたちが見守ってくれているから」とか言うことはよくありますが、死者が言うだけあり言葉の重みが違います。こんな言葉を貰えたらふとした時に空を見上げて、彼らが見守ってくれているのだと実感できるでしょうね。 私の家はお盆の時期は特にやっていませんでしたが、ちゃんとまたやってみたいです。見えなくても、きっと帰ってきてくれるはずだから、おかえり、と言えるように。 何だか難しい感じにレビューしましたが、とにかく私は破天荒なおじいちゃんのパワフルさがこの作品の魅力だと思うんですよね。最後の謎かけなんかかなり好きです。 くだらない、でもくだらないのがいい。 ああ、こんな祖父母が欲しかった。
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