Satori

心の中の矛盾が描かれた作品。 limeさんの作品を読むたびに毎度、人の弱さや脆さを描くのが上手いなと感心しています。 風花は一見、自己中心的な発言を繰り返しているように見えるけれど、物語を通して読み終わってみると、結局はそのすべてが優一の内面を見越した言葉であることに気付きます。 彼女はただ、誰かに深く愛されたかったのかなと。それで、近しい距離にいた優一に当然のようにそれを求めるのだけれど、過去もあり、相手を繋ぎとめるための手段が分からなかったのだろうなとも思う。 喪失感は優一の感じていた愛情のように描かれ、本人はそれをあたかも後悔をしていると勘違いをしたまま物語は終わっているのですが……。 巻き戻しても結局は変わらない。 そう考えている以上、時間を巻き戻してあの頃の彼女が戻ってきても、彼はまた同じように手放すことになるのかもしれない。 二人が互いに感じている愛情の大きな差は、価値観なのではないかと思った。 一片の純粋な愛情と、それを取り巻くものの分厚さ。その全てを含めて愛情とするのか、それとも核だけを愛情とするのか。 物語では直接的に書かれていない、様々な背景が窺がえる作品でした。
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Satoriさん~、このSSにレビューをありがとうございます! これ、本当に感想書きにくいSSだったと思うんだけど、こんなに言い表してくださって、感激しています(;_;) 作者自身が、この優一の最後の感情に、ものすごく困惑してたんだけど、そこまで感じ取ってくださってた~>< そう、この優一って、最後に本当に風花への愛情を再確認して、彼女を愛すべく時間を戻したいと願ったわけじゃないですよね。失って、取られて、そこで感じる悔しさみたいなものが絶対大きかったと思う。 良いように解釈して、自分に打ちひしがれてる。これ、時間が戻ったって同じ事繰り返しますよね。 風花はそれでも最後に優一の愛情を確か
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全然感想書きにくくないよ~! 読んだ後はっきりとどんなことを書きたかったのかが分かる作品にはレビューしやすいです。 描写にちゃんと意図を含んでるので、誤解は……されないかと! 小説描くときに書かない部分を脳内で補完させることが出来る人って、作品の何倍もその世界観を膨らませた背景を頭の中に描くことが出来ているのだと思う。 それが出来てると、文字以外も見える小説になるのかなって思ったりする。 ああ、赤ん坊。 たぶん風花じゃないだろうなって思った。彼の思考と、時間を巻き戻すことが出来なかったラストからすると。ファンタジーにしちゃって「時間を巻き戻すこともできて、風花帰って来ました、大事にします」
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