ことは りこ

『森の煌めきの中で』 「見て見て、ラシルス! ほら上手く造れたでしょう?」 ルウリの手の中にキラキラと光る貴晶石が浮かんだ。 優しく吹く風と木漏れ日が美しい森の午後。 こんな日はきっと素敵な音を森で採集できるはず。 今日こそはラシルスに自分が造った晶石をプレゼントしようとルウリは思っていた。 「ほぅ……だが小さいな」 ラシルスの感想にルウリは肩を落とし、ため息をついた。 「……そ、そうだね」 ーーー やっぱり。 もっと大きなの造らないと、ラシルス、お腹いっぱいにならないのかな…… 貴晶石は聖獣でもあるラシルスの糧になるのだと聞いているから。 やっぱりこんなに小さくちゃ、食べても力にならないのかも。 「シルフィに呼ばれて来てみれば。 それを俺に見せる為だったのか」 ルウリがしょぼんと落ち込みながら頷くと、 「まあ……小さいが形は悪くない。 色もまあまあだ。一体どんな音から造ったんだ?」 「木漏れ日を揺らす風音がとても心地よかったから………」 「なるほど。優しい光を感じるのはそのせいか」 「優しい光?」 ラシルスは頷き、そして言った。 「木漏れ日の輝きの中に音を聴いたんだろ? せっかく出来たんだ。貰ってやってもいいぞ、それ」 「え、受け取ってくれるの!?」 「ああ」 ルウリはとても喜んで、ラシルスに晶石を渡した。 「あ、味とかどうなのかな……!? 不味かったらごめんなさい」 「食べないよ、糧にするのはやめておく」 「……そ、そうだね。味までは保証できないし」 ラシルスのお腹、痛くなったら困るし。 そもそも貴晶石に味とかあるのかなぁ。 「もったいないからな」 あれこれ考えていたルウリにラシルスの言葉は届かなかったようで。 「え、いま何か言った?」 「いいや」 ラシルスが珍しく優しげに笑うので。 ルウリはいつもよりずっとドキドキしていた。 「ほら、戻るぞ」 「……うん」 立ち上がると、優しい風が吹いて……… 木々の葉の隙間から、キラキラと光が降りそそぎ、ルウリの耳元に、またあの音が響いた。 優しい優しい、木漏れ日の音色が。 それは森中を煌めかせ、 やがてゆっくりと風に運ばれていった。 ***** アルガさん。 素敵すぎるサプライズイラスト、本当にどうもありがとう。(*^^*)
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わぁぁ! こんな素敵な掌編付けていただいて本当にありがとうございます!! 押掛女房的なプレゼントだったのに本当に恐縮ですッ。むしろすごい嬉しいです。 描いてよかったーーッ! ありがとうございます!
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いえ、こちらこそ。(^ ^) 森の緑、ルウリの生き生きとした表情(可愛いっ(≧∇≦))やラシルスの視線にドキドキさせてもらいました。 (←冷たげだけど内心はデレているはず!) 笑 想いのこもったイラストから2人の会話が聞こえてきましたよ♪ まだ体調も本調子でないでしょうから、あまり無理せずにしっかり治してくださいね~。 m(_ _)m
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