藤白 圭

人の「記憶」というものが、いかに曖昧で都合よく作られているのか。 人の「心」というものが、いかに脆く、壊れやすいのか。 それに気が付かない「恐怖」がここに存在する。 現実でも、自分には記憶の無い事を、他人が覚えていたり、自分には記憶があるのにも関わらず、周りには全くその記憶が無かったり。 そういったことを誰しもが一度は経験したことがあるだろう。 その「違和感」「薄気味悪さ」「異様さ」 それらを見事に臨場感溢れる「恐怖」の物語として描かれた今作品。 一度目は、冒頭部分の幸せそうな家族から、徐々に引っ掛かる違和感、違和感、違和感の数々。 もしかして――――? と、何度も思う場面もあれど、その真実に辿り着いた時、全ての違和感が点となって結ばれる。 そして、二度目。 タネあかしがされた後で読むと、人間の「脳」というものが、いかにご都合主義に「記憶」を塗り替え、生み出していくのかを目の当りにする。 そして、三度目。 それ以外の何とも言えない気持ちの悪さを感じさせる。 この男の「記憶」はどれが正しく、どれが嘘なのか。 彼は何度も何度も繰り返し、同じ「時間」を微妙に色々なものを加えながら生きているのか? 現実は何年もの時間が過ぎているにも関わらず、彼の「時間」だけが一定期間を繰り返しているのか? だとすれば、息子が高校生というのも――――まさか? 読めば読む程深みにハマる恐怖。 これぞ、心理的ホラーの醍醐味。 流石の一言です。 神?神コンビの最恐ホラー。 刺激になりました。 最高です!
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快紗瑠さん、早速読んでくれてありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) 神谷はこの作品を書けて新境地に行けたんじゃないかと思ってます。 そしてこの作品を書いてプロットの大切さも分かりました。 神がかったプロットが在れば、作品もまとまるし、恐怖の肉付けがしやすくもなりますしね。 ほんと読めば読むほど怖くなるホラーになったと思います! ありがとうございます(*^_^*)
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