ただの甘々ベタベタな恋愛小説なら、ごまんとある。 しかし、もつ煮に入れる生姜のように、ピリリとアクセントの効いた恋愛小説は、なかなか無い。 それが、ここにある。 だから、ついつい顔がにやけてしまう。お代わりを欲してしまう。何べんでもその癖のある美味しさに触れてみたくなるのだ。 登場するのは、なんとヴァンパイア。しかも主人公の彼氏。 それだけなら、有りがちな設定とも取れそうだけど、この作者はそんな甘いことは言わせない。 出てくる、出てくる、残念なエピソード。 従来の吸血鬼のイメージにならってイケメンなのに、その実は本当に残念。 でも、逆にそれが愛くるしかったりする。 そんな人物像をたやすく描ききってみせる、その力量はさすがです。 短いのに読み応えは抜群。 セリフのひとつひとつも、実にオシャレ。 続きをお願いしたくなるような、新しい人外恋愛小説、ここに誕生! 一読の価値ありです。

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