傘もささずに

(応援) 音楽が聴こえる。それも荘厳な交響曲ではなくもの悲しいピアノの独奏が。 基本的には二人称の物語なのだがガーデアンが回想する場面等は一人称に変わる。それが全く違和感なく読めるのは作者の筆力なのだろう。 色彩で表すと漆黒な重い作品なのだが、その底辺に漂うのはグレーな色。 それは基本的にこの作品が本当は人を愛し慈しむ優しさを描いているからなのだろう。 愛する人にはどんな障害が待ちかまえていようとも命を賭けても後悔しないし無償の愛を捧げたい。 でも私も愛して欲しいのに…… 近未来を舞台に選択しているが現在にも通じる愛と憎しみを太い幹にして果してラストはどうなるかとハラハラドキドキ。 ありふれた甘い恋愛小説に飽きたらこの作品をあなたは手に取るべきです。 この作者の『泡沫の姫は紅に染まる』も名作です。 更新が楽しみ!
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