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あの春の思い出
あおい 千隼
2016/12/15 11:03
レビュー失礼致します。 (応援) 春の麗らかな日。 主人公は、ショッピングセンターで事故に遭い、網膜剥離により光を失ってしまいました。 車に接触した時の映像や体感が、心にトラウマを植え付けてしまいます。 主人公の両親は、そんな彼女を慮り、いつの日か光が戻る日のために、美しい情景を求めて、休日になると主人公を連れ出します。 親の気持ちは有り難いものです。 しかし主人公は事故のトラウマを抱えており、内心外出などしたくはありませんでした。 途中まで拝読しまして、すでに 『疲れた……もう嫌だ』 という彼女からのSOSが、如実に伝わって参ります。 それからある時。 両親と山へ向かう道中。横断歩道を渡る主人公は、信号が青なのか赤なのか解らなくなり、パニックへと陥ります。 そこへ、主人公を助ける存在が現れるのでした。 颯爽と主人公の手を取ったのは、同世代の少年です。 少年の従兄弟は、主人公と同じく網膜剥離になり、完治後は夢に向かって日々努力を惜しまないと言います。 主人公を励ますため、その事を話して聞かせるのでした。 両親の頼みで、少年に公園へ付き添って貰います。 素晴らしい光景が、眼前にひろがっております。 少年は、主人公に感動をその目に映してあげようと―― 主人公の初恋と、『生涯の宝と成りうる想い』という形を、作者様のセンスで、悲しくも考えさせられる描写で描かれております。 切なくも去りし淡恋……心を打つお話でした。 有り難うございました。
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