文章表現はとても真面目で、淡々としています。背景描写も美しい。
なのに、それなのに、いや、だからこそ、大真面目におかしなことをするものだから、そのギャップにやられちゃいました。笑ってしまいましたよ。
"掛けるだけで犬の気持ちがわかるメガネ"
掛けると犬の気持ちがテレパシーのように日本語で伝わってくるようなものを予想していたのですが、まさかの展開に吹き出してしまいました。
そういうことかーっ!
─食べて、寝て、遊ぶだけの日々を漫然と送っているハーレイは、一体何を思い、何を考えて生きているのか。
ハーレイだけではない。他の犬も、一体どのような気持ちで種族の違う人間と暮らしているのだろう
本当の意味で『気持ちがわかる』ということがどういうことなのかを教えられたような気がします。
それは、相手の言いたいことがわかるようになるわけではなくて、相手の立場になって、何を思い、どう感じるのかを理解すること。
─このように大きな声をあげるということは、怒っている証拠だ。なぜ怒っているのかは不明だが
─またしても妻が阻止した。なぜだ、なぜ自分の行きたいほうへ行ってはいけないのだ
─私はただ歩きたい
─はやる気持ちを抑えられず、私は走ろうとした。その私の腕を妻ががっちりと掴んで、私は自由に走ることも許してもらえないようであった
どうして怒られているのか、なぜ行動を制限されているのかがわからなくても、自由に好きなことができなくても、それでも彼らが私達の傍にいて、優しく寄り添ってくれているのは…
─だが、私は知っている。彼女は、私をとても大切に思い、心から愛してくれているということを
愛が伝わっているから、愛されていることをわかっているからなのですね。
無償の愛を感じているからなのですね。
血の繋がりがなくても、大切な家族。
一緒に生きることで、互いに芽生える、愛しさ。
飼い主の心はしっかりと伝わっている。
Talk to me sometimes.
Even if I don't understand your words,
I understand your voice when it's speaking to me.
『犬の十戒』を思い出してしまい、涙が込み上げてきました。
クスクスと笑わせてくれて、とても面白くて、そして深く考えさせてくれる、素敵なお話をありがとうございます。
人でなくても、どんな生き物であっても、愛を持って接したいなと、このお話を読んで思いました。
ひとみ(絵仕事多忙でほぼ留守です)