仙冬可

冒頭部分からはSF臭がしてたのに、指定ジャンルは密室殺人。 これはよく考えたらけっこうな力業で持っていくのかな……と思ったのですが。 密度の濃い、質量のある殺人でした。 殺意の温床は様々でしょうが、頭ではなく不条理なものや未消化の感情から生まれるのかもしれません。 実験ということでしたが、この物語そのものが箱の中を覗き見しているような気がしました。 太陽のシーンで始まり月のシーンで終わる。 何をもって命があると言えるんだろう、と思い巡らしました。 文豪が月が綺麗ですね、というのを「I love you」の訳にしたというのは有名ですが、あれは時間や感想を共有したいという、言葉の無力化の記号かなと個人的に解釈しています。 猫とご主人様の共有してきた時間と感情に、人間はどう名をつけるかわかりません。 ラストで明らかになるご主人様の「欠陥」の美しく愛しいこと。 ミステリーの犯人探し以外にも、いくつも発見のあるお話でした。 イベントお疲れ様でした。 ご一緒できてできて嬉しいです。そして嬉しくないお知らせでしょうが、登場人物がパンツ履いてない仲間に認定しました。
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