【コメント】

櫻の巨木と青年の"シタイ"

僭越ながらレビューさせて頂きます。繊細で儚い描写に目頭を熱くしました。全てを理解した彼と、現実を直視出来ない主人公。当たり前のように奇跡などなく、訪れてしまう永遠の別れが、悲しみと共に伝わってきます。そんな気力を無くした日常に届いた一通の手紙は、あり得ない奇跡を呼び込みました。あの時のシャンプーの香りがする手紙。導かれる様に駆け出した先には、いつもと変わらない日常の桜。そこへ飛び込んできた満開の桜は、まるで彼の如く錯覚させます。優しく頬を撫でる桜の花びら。約束できないといった彼は、約束を守ってくれました。この描写が幻想的で、包み込まれる主人公の涙を流した笑顔が浮かび上がります。また、ラストも秀逸で、記憶に残る桜と目の前の桜が重なりあったと感じました。切なく、優しく包み込まれるような物語。とても面白かったです！

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