猫熊太郎

 まさにライトノベルという内容で、好きな人はどっぷりハマる作品でしょう。面白かったです。  ただ少し気になる点がありました。  描写の視点を各々のキャラごとに切り替えるという手法です。  これ自体は悪い事ではないのですが、問題は”神”である少女カミナからの視点を描いているという事。  物語に於いて、”神”――つまり彼女らの存在はキーマンな訳です。ブラックボックスとも言い換えれましょう。    平凡な少年少女達の前に現れた超自然的な存在――彼女らは人間が空想してき「神サマ」なのか、あるいはもっと異質な存在か。  それがストーリーの根幹であるのに、その答えを知っているカミナ自身がだらだらと回想を垂れ流している。  ――そういう構図になってしまうんですよ。  あくまで現実を生きる少年少女達の目線によって明かされなければならない非現実の真相を、それこそ神の視点で描出しちゃってます。  これが拭えない違和感の正体でした。  細かくは、ちょくちょくそのキャラの視点からでは知りえない情報を描いちゃってるというのも頂けないです。  というより、視点が切り替わってる部分ですね。    他にも、登場キャラが余りにテンプレート過ぎて既知感が半端ないというのもありますが……  これはまあ、多くのラノベ作品から受け筋をきっちり抽出しているという意味では武器であるのでしょう。  とは言え、戦闘シーンでは文を短く整え、スピード感のある描写に徹しているなど作者さんの工夫が窺えます。  ストーリーの方も大味ながら、ポイントを抑えた王道展開。  楽しめました。
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