水尾伊吹

「唇にkissを」 毎朝同じ電車に乗ってくる彼。もう1年になる。どこの誰かも知らないここだけの人。 いつも眠たげで。ポケットに手を突っ込みながら。日々煩わしそうに。ぼーと霞んだ人。 そんなあなたは私の大好きな人。Greyのスーツにぎゅうっと抱かれたい。その切れ長の瞳で私を刺して。その唇で私の耳を噛んで。その長い指先で胸元を開いて。電車が到着する前に。。。なのに満員電車で体が触れても私は鞄を抱きしめるだけ。そんな日がいつまで続くの。ガタン。電車は手荒く揺れる。もしも神様がいるなら彼と甘いkissをさせて。。 「まもなく京都。京都。。。」キキー「あっ」彼の背によりかかった私はkissを。。。襟元に。。。 ドアが開くと彼は降りて行った。真っ赤な唇を付けて。 『いってらっしゃい』 私はそう祈るしかなかった。。。
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