あがさ。

拝見しました。 この物語は、筆者様が構築された空中の格闘技『スカイブリゲイド』を通した主人公とチームメンバーの成長物語です。 『スカイブリゲイド』は、シンプルなルールでありながらも、ファウルの種類が多く、それが試合の肝となります。それらのルールが分かりやすく説明されているところも、この作品を面白くさせている要素だと思います。 序盤の、チーム『リップルスター』のスタメンをかける争いは手に汗を握る展開となります。先輩からのいじめ。後輩からのまさかの告白。そして、交錯する五人の想い。一見ドロドロしているように見えますが、光姫さんのインタビュー通り、一貫して「清々しさ、初々しさ」が認められます。 また、主要メンバー五人が『スカイブリゲイド』を始めたきっかけのお話は、胸を打つものがありました。特に主人公の過去には愕然とします。それに寄り添うチームメンバー。感動です! その後の強化合宿は楽しく読ませていただきました。他のスポーツではまず考えられない練習方法を描いた様子は必見です。 そして、あんなに幼かった五人がアジア代表選出の前哨戦ともいうべき予選大会『蒼龍祭』に出場するシーン。もう何十倍にも成長していて、その成長譚は涙無くしては語れません。そして、成長しているのは『リップルスター』のメンバーだけではない!ライバルチームの面々もあの手この手で主人公達の前に立ちはだかります。 チーム『リップルスター』を束ねる監督の魅力はその指導法を見れば明らかです。ラストを読んで、松任谷由実『卒業写真』が聞きたくなるという理由に納得です(笑) 監督の魅力は絶大ですね! 最後に。 この作品からは「色」を感じます。 表紙の素敵な空の色はもちろんですが、作品で使われる章タイトル。これも色を感じる工夫がなされていて、読んでいてため息が漏れました。 凛として、清々しく、けれども筆の運びは繊細で美しい。物語はスポーツを通して、教育現場の矛盾に布石を打つメッセージを孕んでいて、感動的。 こんなに素晴らしい物語に出会えて良かったです。 ありがとうございました。 (★)

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