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神龍の神事の厳かな空気と、庶民の祭りの賑わい。 そしてそれらの一環として行われる神龍への供物のための熱すぎる料理バトルのシーンから一転し、過去に遡ってのまるで少女漫画のような市場での出会い。 話の展開、人物設定など、全てにおいて転調と対比が効いた話だなと思いました。 同じキュウリをつかんで取り合い折ってしまうという二人の因縁の出会い。 新鮮ならキュウリはくっつくから…なんて話が出たのでここからすぐに恋が始まるのかと思いきや……。 時折差し込まれる祭りでの調理の様子と物語の進行がリンクしているということもすぐに気づきました。 そしていかにも料理バトルらしい大袈裟過ぎる食材の描写に食欲をそそられます。 性格は真逆なのにどこか似ていると感じていた二人。 主人公が魔女に代償を支払って足を作ってもらった人魚だったように、彼もまた魔女に代償を支払って地上の明かりに対応出来る目を手に入れた地底人だったとわかって納得がいきました。 広い海で育った彼女と、狭い地底で暮らしていた彼。 早く互いにその事を知っていたら、デザートにイカの刺身はアリか、石はオヤツとしてアリかで対立する事もなかったのに。 いや、そこは別に重要じゃないですね。 しかし、魚介類尽くしで単調だった彼女の料理が彼のおかげで豊かなものになったと思うとやはり大切なのかもしれません。 とりあえずなんでも生で口に入れるというのは、さすが火のない海育ちならではです。食材や調味料だけでもヘビーなのに、さらに食べられないものまで…ちょっとドキドキしました。 逆に彼はなんでも焼いちゃうし。 死んだ姉の仇を討つために陸に上がったはずの主人公の耳に届く『姉らしき人』の噂や、料理バトルへと導いた少年がミステリアスでした。 少年の正体は、実はあの人?まさかの神龍?など、色々想像してしまいました。 そして追っていた姉の仇がまさか友である彼だったとは! どちらの料理が神龍に捧げられるのか?姉の噂の真相は?そして二人それぞれが目的を達成しできるのか?はたまた、全ては水没し、海中火山は火を噴くのか?主人公は拒み続けていたパンツを穿くのか?目の離せない展開でした。 (★)
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