清水 誉

本屋は、自分の興味のなかったジャンル本に偶然出会い、知らなかった事を教えてもらえる場所だ。 それはこの鎮守の森の本屋も然り。 しかも葉っぱの裏の本だなんて、なんて素敵な本屋だろう。 内容も都会っ子のヒカルにしてみたら、知らない事だらけでさぞ楽しかっただろう。 野孤のシロに出会えたら、私も案内してもらえるだろうか。 こんな素敵な場所なのに、この村では決まりがある。それは、きっと森の3人の守護主と関係している。 人間からしたらおぞましい姿となった守護主だが、その理由は捨て身の慈愛に満ちている。 ヒカルといじめっ子のヒロユキだけが、ある事件のためにその者たちの成れの果ての姿で、過去を推測する事が出来たのだけど。 身を守るため近寄らないという決まりは、一理ある。一理あるが、それは正しいとは言い切れない。 ヒカルのように近づいたから得た経験もある。 ヒロユキのように知らないから平気で危険な行為をする。 自然というものは美しく豊かであり、平等に残酷だ。 だが、知識さえ持てば回避できることも多い。 悲しくも森の本屋は一時閉店だ。 しかし、またヒカルがシロと出会えた時。 新しく芽吹いた本屋が彼らを待っているだろう。 素敵な本屋さんのご紹介、ありがとうございました。
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清水あにい、最高のレビューありがとうございます。 「危うきに近かよらず」というのは処世術として一理あって、現代はそれが顕著ですよね。 でもいちばん怖いのは「無知」だと思います。まさしく「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり」は至言。 かけがえのない自然を守っていくのは、穢れなき子どもと神秘を体現した妖怪だと、この童話にこめました。 それを読んでもらえて、作者冥利に尽きます_(_^_)_
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