「ヒーローはインターホンの向こう側に」 「ヒーローは居留守を使っている」 あぁ、なんてカッコいいフレーズなんだろう。 ありきたりな誉め言葉を持ち出すとすれば、まさしく「痺れる」ってやつだ。 こんな文字の羅列の仕方、もぐらさんにしかきっと出来ない。 生々しい暴力シーンも、性描写も、許されてはいけない悪も、すとんと飾らない言葉でそのまんま描かれている。 なのに、驚くほどスマートで、むしろ美しいとさえ思わされてしまうのは、どの文もやはり先に提示した二文のように、「痺れる」仕組みで構成されているからじゃないだろうか。 内容は王道のアウトローという感じ。でも、フレーズがとにかくカッコいいから、手垢まみれに感じない。 こんな凄いことはそうそう出来やしない。真似したくても無理だ。 一クリエイターとして、非常に悔しい。 だけど、次回作を無性に楽しみに待ってしまうほど、夕凪もぐらというクリエイターに、ほとほと心を掴まれてしまっているのだ。

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