Satori

未来を想像しても終わることのない葛藤が、思春期の瑞々しい感覚で描かれた純愛ものなのですが「素材」を引き立てる文体で、サスペンス風な仕上がり。 この後に続く長編を先に読了後していたので、甘酸っぱさ以外のものを感じさせるディティールの工夫にもなるほど、といった感じでした。後の物語にきれいに繋がっている。 恋愛がなんたるかを、まだいまいちわからない、はるまきのふわふわした気持ちと、美沙を前に男であろうと背伸びしようとしてしまう気持ちが微笑ましかっただけに、告白が重い。 ここで君を抱きしめてもいい? もしあの時はるまきが心を許せたら……、と考えても、やはりそこから幸せな未来、というものが開かれていくような気がしないところに切なさを感じた。 「わたしの」リルケくん、とかチャーハンが「意外と」美味しいとか、本編を知っているだけに、ちょっとしたところから覗ける美沙の本性?(笑)がちょっと面白かったです。
1件・1件
Satoriさん~。 この物語の今後の展開や、キャラたちの個性を知り尽くしてくださってるSatoriさんのレビュー、ものすごく心に響きます。うれしいです(;_;) そう、ここは恋の始まりと言うより、はるまき(←Satoriさんの付けてくれた本名より長いニックネームが好きw)の試練の一通過点に過ぎず。 このシリーズを読んでくださった皆様には、きっとこのはるまきのカミングアウトの意味が分かってくださると思うんですが、そこに行きつくまでのはるまきの幼いなりの葛藤を、一度書いてみたかったんです。 すごく地味で堅い文体だし、詩集なんか出しちゃったせいで文学小説っぽくなっちゃったかなと(←密かに不本意
1件

/1ページ

1件