八神ユーリ

…とある喫茶店の前には『お客様は神様です』と書かれた木の板が立て掛けられている。 「おい、見ろよ!『お客様は神様です』だってよ!」 「ギャハハ!マジかよ!昼飯はココで食わね?」 「いいねいいね!俺ら神様だぜ!」 いかにも頭悪そうなヤンキー三人組が木の板を見て喫茶店の中に入って行く。 「らっしゃっせ~」 「おいおい!なんだその挨拶は!ちゃんと挨拶しろや!」 「俺らはお客様だぞ!」 「…いらっしゃいませー」 ウエイターの格好をした青年がやる気の無い挨拶をするとさっそくヤンキーがクレームをつけた。 青年は面倒臭そうな顔をしながらちゃんとした挨拶に変える。 「お席はこちらになりますー」 「接客する気ゼロじゃねぇか!」 「表の看板は嘘かよ!」 「お前舐めてんのか?ああん!?」 「では注文が決まりましたらこちらを押して下さいー…はぁ…」 青年はヤンキー達をガン無視してやる気無く説明するとため息を吐いて歩いて行く。 「!んだアイツ!」 「店長呼べやコラァ!」 「とりあえず飯食ってからにしようぜ!」 怒るヤンキー二人を残り一人が宥め、注文を決めてブザーを押す。 「注文はお決まりでしょうか!」 すると今度はメイド姿の美少女が可愛い笑顔で駆け寄ってきた。 「「「!!?」」」 「ご注文は?」 「…へへ…姉ちゃん可愛いな…」 「きゃっ…!や、止めて下さい!」 あろう事かヤンキーはメイドのお尻を触るセクハラをし始める。 「別に良いじゃねぇか…!俺達はお客様なんだからよぉ!」 「きゃっ!止め…!」 ヤンキーBがメイドの手首を掴む。 「…お客様ー、そういう事はお止め下さいー」 青年はダルそうにヤンキーBの手首を掴むと力を入れる。 「痛っ!お前…!お客様に暴力振るうのか!?お客様は神様なんだろ!」 「…そうですけど…アレをご覧下さい」 ヤンキーBが腕を振りほどいて文句を言うと青年は店内に貼られてる紙を指差す。 『ココは神に仇なす悪魔の店。店内において神は敵である。自ら神を名乗った物は力づくで排除せよ!』 「「「なっ…!」」」 「では、お客様?覚悟はよろしいですかー?」 青年はやる気無さげに指の骨を鳴らし確認を取った。

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