『これをきっと人は可哀想だと言うのだろう。私からすれば、こんな風に想えない人の方がずっと、可哀想だ。』 この作中の文章に出会って、何故だろう、泣きたくなりました。 生きていく。幾つもの季節を通り過ぎて、歳を重ねて、色んなものが変わっていく。 例えば恋愛というのは奇異なもので、始まった瞬間に、どこかで終わることを覚悟せねばならない。思いを伝えるその行為も、だからその分勇気がいる。 主人公は、同じ相手に長い間恋をしている。 相手が、自分が変わって行く中で、変わらない気持ちというのは、それだけで苦しく、眩しい。 この物語に限らないが、筆者の作品には息苦しいほどのリアルが溢れている。 同僚に好意を寄せられて、それに気づくこと、それを断ること。一つの関係性が変化し、終わっていくこと。 一つのペンが落ちる。日常の何気ない出来事。けれどそのペンは私や彼や、昨日通り過ぎた彼らかもしれない。読後そんなことを思わせる、少し寂しく爽快でもある余韻。 これぞ、早川作品。 素敵な物語をありがとうございます。*
・2件
またたびさん、ありがとうございます(´;ω;`) いつも思うのですが、私の小説って、またたびさんのレビューのおかげでまるで素敵なものに見えるなぁって。 リアルを追求したいんです。 歪んでいたり特異であったり、それでいて、どこにでも紛れているような人たちを。 この主人公だって、視点を変えて岡田の友人から見たら。 ことの顛末を岡田が友人に話せば、「思わせぶりなことばっかりしといて、それかよ」って言うこともあるでしょう。それでも、みんな別々の時間と環境と人間関係の中で生きている。会ってもいない人、少ししか変わりのない人が、一方の意見しか知らないままにその人のことを嫌うことがあるって、淋しいと思う
1件
レビューを書きながら、なんてとりとめのないものになってしまったんだ…と落ち込みもしたので、そう言ってくださると本当に嬉しいです* 作品の良さを伝えたい、この物語を多くの人に読んでもらうきっかけになればと思うものの、レビューってなかなか難しいですね。 ちょめさんのレビューにもありましたよね。「女は多面体だ」って。あの表現、私本当に好きなんです。 見る人が違えば、その時の状況が違えば。人間はもちろん、色んな事実そのものも様々な表情を見せる。 その一瞬の様相を、輝きを、もがきを切り取っていく。物語の書き手ってそういうことなんだろうなと思います。 また色々読ませていただきますね(●´ω`●)
1件

/1ページ

1件