江田公三

 二・二六事件の際に電話局の交換機で盗聴された料亭「幸楽」の録音盤の音声に、物語をはめ込んでいく手法ですね。ただ、この長さでやるとしたら、物語としっかりリンクしないと難しいですね。展開の主要な部分が会話になっているため、時空の捩れや登場人物のキャラクターの明確な切り分けが表現し切れていないと、読者がストーリーに振り落とされてしまいます。一所懸命に読みましたが、楽しむことができました。  二・二六にはすでに『蒲生邸事件』(宮部みゆき)というタイムトリップSFの先行作品があるので、難しい選択だったようにも思います。  これからも意欲的な作品を読ませていただけることを楽しみにしています。ありがとうございました。
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