でん(休)

妄想コンテスト『夫婦』作品。 四十年連れ添った夫を見送って間もない妻が、黙々と古い日記帳に消しゴムをかけるお話です。 夫婦間の軋轢や葛藤だけで埋め尽くされた頁の文字が消しカスになるたび、主人公の心も調えられていく様子が伝わってきます。 既存の掌編を妄コン用に再編集された作品。 前作では妻の、ひとりの女性としての再生が強く印象に残りましたが、今作にはまた少し異なるものを感じました。 消しゴムをかける作業は単純に、忘れたい過去を消すためだけに止まらず、それらを赦す意味になり得るのではと。 消すことで赦し、赦せたことで慈しみにも変えられる。夫を愛し直せる。つまり妻のみならず夫婦が再生する儀式にもなり得たのではと。 二人の関係を胸のうちでたしかに消化できたことで、本当の意味で、主人公は新しい朝を迎えられたのだろうなと思いました。 さらに深みを増した今作があらためて好きになりました。 ありがとうございます。
2件・1件
でんさん、こんばんは。 深く読んでいただいてありがとうございます。 消す行為の奥にある心理を読み取ってもらえて嬉しいです。 嬉しくてレビューを何度も読み返してしまいました。 まだ私はその年齢に達していないのですが、想像の世界が広がって得るものがあった作品です。 好きになってもらえて本当に嬉しいです。 また執筆頑張ります。
1件

/1ページ

1件