しのき美緒

『まだ労働で消耗しているの?』  自分のキャリアのために、おそらくは思いっきりエゴイスティックに、そして自分を殺しながらいきているサラリーマン--おそらくはいわゆる良い大学を卒業し、上場企業に就職した社会人3年目までの若者はたいていそんな風ではないでしょうか?  本作の主人公「俺」もその一人。最寄り駅に出没する(控えめに言って)小太りな男の奇行についても、 『全て自分のキャリアの為。将来の為だと思えばこそ、(非常に控え目に言って) 少々の激務にも堪えられるというもの。仕事やめて、ニートにならないか?そんな言葉、今の俺には全然響かない。』 そう豪語します。でも心を押し殺した報いは、ふとした折に彼を襲います。そんなとき…… 現実が見え始め、自分はそう優秀でもなくごくごく普通の会社人(かいしゃじん)であることを思い知らされ始めた頃、を誰もが懐かしく思い出すでしょう。誰でも一度は線路の枕木を見つめたこともあるはず。 自分のことを全然知らないことに、枕木を前に気づいてよかった。 主人公は逃げるように電車に乗り込み、身を隠します。 この主人公は、まだ本心とは向かい合えないようです(T_T) わたしは「少々苦い若者の挫折の記」として、この掌編を読みました。 そして、この主人公が一刻も早く、自分の本心と向き合ってくれることを願いました。 冒頭の言葉は有名ブロガーイケダハヤトさんのブログタイトル。 この主人公(とよく似た皆様)に捧げます。 何だか感想文のようになってしまいましたが、以上をもってレビューとさせていただきます。 このたびはイベントへのご参加、まことにありがとうございましたm(_ _)m しのき美緒
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素敵な書評をいただき恐縮です… あーなるほどー。と読んで思いました、ふと過った自殺願望、わたりに船と迫る電車、自殺しなくて良かったねくらいのオチで書いていたんですが。 これを書いたときは叫ぶ男のこと、悪魔の囁き的なポジションで考えていたので、本心と向き合えない主人公、というのは発見でした。 「まだ労働で消耗してるの?」 自分にも刺さる言葉ですねw もっと深い視点で創作していけたらな、と思います。 色々と気づかせていただきありがとうございます。
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こんばんは!本日も消耗して帰ってきました(笑) 掌編は説明も少なく、そのぶん、読み手は想像をふくらませることができます。 「逃げるように」ってあるので、何から逃げたのか→会社辞めたい、っていう本心から逃げたって思いました。  ガ○クソン似の変なヤツから、っていうのだと、さすがにレビューする者としては浅すぎますので。少々深読みでしたかね? あれこれ考えるのはとても楽しかったです。 こちらこそありがとうございました。  
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