江田公三

 不安定で焦燥感を抱えた主人公を連れて、「先輩」が向かったのは「大学芋のお店」。そこは、学校とは対称的な、勉強を楽しむ人たちの集うところ。そこで物事に主体的に向き合う体験をした主人公は、「先輩」と呼んで距離を置くことしかできなかった「美希コン」に対して劣等感ではなく、近しい存在として触れ合うことができる。  思うように手首を使えなくとも、正確にリズムを刻めなくとも、たちまちに減衰する音を響かせるため、主人公は刻み続ける。生きていくということは、絶え間なく刻み続けることだけれど、難行苦行ではない。秋晴れではないけれどたしかに明るい、暖かな光に包まれたエンディングでした。
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