小ネタ ▼ 冷静沈着、才色兼備――博識でありながら語りたがらない寡黙で口下手な彼に憧れという情を向ける者は多い。無論、劣等感や嫉妬も少なくはないが。 欠点などないと思われがちの彼にも弱点というものはあるようで。 「虫、嫌いなのね」 私は虫が大好きというわけではないが、害虫は苦手だ。全ての虫を愛せないなら好きだと語るには御粗末だろうかと考えてしまうわけで。 それは捨て置き、普段はあんなにも落ち着いている彼の理性をここまで崩せる存在とは如何に。 過去に言葉に出来ない何かを体験したのだろうか、高層ビルよりも遥かな巨大の虫が実は肉親の仇であるのかもしれないし、故郷を害虫に滅ぼされた暗い過去があるのかもしれない。 「昔、食った木の実の中に虫が居たんだって。一緒に食っちまったのがトラウマになってんだと」 イトールの言葉に、私の中で何かがスッと音をたてて冷めていったのが分かる。 これが、冷静になるということか。 トリストみたいなやつにどんな夢を期待していたのだろう時間を無駄にしてしまったな、と。 ※ ユイル「リオさんってほんと、辛辣ですよね」
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