あーる

囲われた狭い空間。神聖なその場所で、神父を襲う不条理な出来事。 冒頭から激しい背徳感と息苦しさに飲み込まれていきます。 箱庭のような世界で穏やかに日々を送る神父。その神父が知る由もなく過ごしてきた、人の持つ愛情とそれに伴う苦悩、愚かしさや汚さを身を以て知った時、現れる美しい情景。 この場面転換にうっとりとしてしまいました。 淀んだ淫靡な空気から 「美しいのはあなただ」 神父のこの心の声で、澄んだ光溢れる空気に変わる。 美しい堕天使に見初め求められ、愛されること、愛することと、それにはままならぬ苦しみや痛み、浅ましさも伴うものと知り、全てを受け入れた神父の目が開く。 人の本質を知り、本当の意味で満たされた神父は堕天使をもすくい上げる。 この神父とともに幸福感と光に包まれたような気持ちになりました。 でも…果たして知るということは善なのか。悪なのか。…善と悪とくくること自体に意味があるのか。…私の中で仄かに哲学的な余韻が残りました。 ほかの物語とはひと味違う無上のファンタジー。 たろまろさんの世界の奥深さを感じられる作品です。
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あーるさん! 素敵なレビューありがとうございます! 世界観に没頭しひたひたに浸ってくれていてとても嬉しいです。 目くるめく刺激と衝撃の先に見えた光景。ここに魅入ってもらえた! ただの濡れ場や、ただの美しい神話じゃない。 描きたかったのは綺麗ごとでだけで愛は成立せず、そこには欲が必ず存在すること。それこそ人間が人間として持つべきモノであり、生きるという事であり、人の証である事。 そういうのを描きたかったんですよね。 だから、あーるさんの善悪の判断への意味の問いかけによる哲学思考。凄く嬉しいです! 本当に素敵なレビューをありがとうございました!!
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