まず、ガチャガチャ切符という発想が面白いです。 昨今の世情を織り交ぜながら、ほんの少し先の未来で、自分の居場所が定まらぬまま孤独に生きる主人公潤を、軽やかな文章で哀感たっぷりに描いていく。 ガチガチの関西弁のおかげで、すこぶる愛嬌あるキャラに仕上がっている巨乳(裏山)の占い師が、作中でいい味を出しています。 しかも、占い小屋の雰囲気は乱歩小説に登場するような妖しさも孕んでいる……。 『自分の不運を笑い飛ばせるようになったらしめたもの』 とあるミュージシャンの言葉ですが、そうしたくても、なかなかその域には到達できないもの。 しかし、どんなに絶望的な半生だろうと一寸先は何が起こるか分らない、それが人生なのかもしれません。 「ガチャ」と人生のレバーが回されたとき、あなたは果たして回しきることができるだろうか? 著者様の問いかけが聞こえてくるような気がしました。

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