河内はろん

「神話少女真理の事件手帳」 という題名の作品ですが、語りは日高陽平という真里のボーイフレンドです。 ですので、もしかしたら本当の主人公は、事件に関係したそれぞれの人たちなのかもしれません。 事件を解決しながら、陽平と真理の関係はより親愛に深まり、お互いを「恋愛の対象」として見るようになります。 それは、すなわち、この作品の深層の部分に触れることなのかなぁと思いました。 真理の母親が何ものかに殺害された事件の真相が明らかになり、この話は終わります。 そこで、私はやっとプロローグでのやり取りを思い出しました。 女は言ったのです。自分は「オルぺウス」になると。 それは「忘れられない誰かと、黄泉の国で再び再開する」という意味だったのでしょうか。実際は、結ばれなかったという話なのに・・。 それで、思うのです。だから彼女は、こんな人だから彼女は殺されてしまったのだなぁ・・と。 彼女は母である前に「女」だった。しかも、強烈な女だった。 愛する男性との間に生まれた子供さえかえりみれない程の「女」だった。 深い深い深層心理をここで感じ、とても悲しく切なくなりました。 結局、誰一人として幸せになれなかった・・と。 それでも、最後に「恋は恐ろしいものかもしれない。だが、やっぱり素敵なものだ」と陽平君が語ります。 この言葉に救われました。 心の傷はきっと癒されることはなくて、それぞれに重い荷物を背負っているけれど。 それでも、楽しいことがある、素敵なこともある、ということをこの作品は教えてくれていると思います。 たくさんの神話の勉強にもなりました! 素晴らしい作品を、ありがとうございました!
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