リオちゃん没ネタ 人間、記憶喪失になんて簡単にならないと思う。 イトールのことを悪く言いたいわけでも言っているわけでもなくて。 彼が空欄なことに間違いはないのだろうか否、空白ではなく真っ白か。 だから綺麗な人なのだ、悪意のある言葉も深い意味がないと相手に分からせてしまえるから。 誰かを不快にさせることはないのだろう。 それが、少しだけ羨ましい。 彼は内心では苦悩しているのだろうけど、それが酷く美しい。 私は、私はどうなのだろうか。 純白でも純情でもなく、灰色でとても見苦しい存在なのだろう。 人間は忘れたいこと程に忘れられない生き物だから後悔も懺悔も出来るのだろうか、そうでもない。 忘れたフリをしている方が何かと楽でそれを積み重ねていく内に、言い出せなくなるものだ。 臭いものには蓋をして、閉じ込めて、何時か溢れてしまうのだろう。 その時に、その時は、きっと誰も居なくなっている。 それを知りながらやめられないのは、私が――
1件

この投稿に対するコメントはありません