#23

(応援) これほど悩ましい物語に出逢ったことがない。普段小説を読むときは、主人公、あるいは脇役の誰かに自分を投影させ、作品にのめり込んでゆく。そうすることによってストーリーを自分ごとにし、感情移入をすることで時々の気持ちを共有することができるからだ。しかしこの「CHERRY」はそうはいかなかった。 ゴリ?ゴリは違うでしょ。ゴリほど責任感強くないしネットワーク広くない。それに酔っ払ってもいないのに、さすがに初対面の未成年の女の子にDEEPKISSなんてできやしない。「青い影」を歌えっこない。そもそもゴリほど男らしく、〝死ぬために生きる“なんて出来やしないよ。 じゃあ、カバ?それも違うよ。カバがオカマだからじゃない。カバほど大きな愛でcherryのことを見守ってあげられない。カバほど人の心がわからないし人の痛みがわからない。優しく抱きしめて包んであげられない。死ぬ間際まで先輩のことをずっと好きでいられない。 じゃあcherry?まさか。あんなにピュアじゃない。パーティの企画や仕切りは出来るかも知れないが、命までかけられない。そしてなんといっても、いつ帰るかわからないSHINを10年も待ち続けることなんか、出来るわけがない。cherryには逆立ちしてもなれない。 そしたらもしかしてSHIN?ありえないでしょ。まず、ピアノが弾けない。幼稚園のオルガン教室をやめなきゃよかったって思っても、今更の今更だ。なにより、「honesty」なんて唄えない。自分のraison d'etreなんてわかってないし、そのために危険に身を置く人生の選択なんてできやしない。cherryのために血を流し、cherryの幸せために自らの存在を世の中から消すなんてカッコ良すぎるよ。 うーん困った。誰にも自分を投影することができない。でも、いままで経験ないほどこの世界観にグングン引っ張り込まれていくのは何故だろう? そうか、この4人全員に感情移入してしまっていたんだ。ライフヒストリーや性格は違ってもそれぞれ言葉に出来ないくらい魅力的なパーソナリティに少しでも近づきたいという気持ちが全員への感情移入につながったんだ。 ほんとに参りました。壮大な舞台設定、人物プロフィールとキャラクターづくり、そしていいようのない筆致とレトリック。 みんなと一緒にwonderlandに連れていってくれてありがとう。なにより朋の未来がHAPPYENDに近いものになりますように。
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#23さま 拝読いたしましたm(__)m 『CHERRY=one night call=』をお読みいただきました上に、作者冥利に尽きる素晴らしいレビューをありがとうございますm(__)m お言葉のひとつひとつが、嬉しくて泣けました。 ここまで深く感じて、見守っていただけたこと、4人の分も合わせて御礼を言わせてください。ありがとうございましたm(__)m 性別も年齢も関係なく、楽しんでいただけるラブストーリー。 そこから何気なく感じていただきたい事々。 私たちの時間。 欲張りすぎて長くなってしまったこの作品に、出逢っていただき、お読みいただき、感じていただけた上に、まるで小さな作品のような

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