あおい 千隼

レビュー失礼します。 人とは違う生き方をするというのは少なからず辛い目にも遭いますし、疎外感を覚えたり奇異の目に立たされることもございましょう。 一括りに言いますと"差別"でまとまりますが、感情や思考は人それぞれです。 主人公の家は裕福ですが、環境や境涯は決して主人公にとって幸せなものではございません。 早くに母親を亡くし肉親は父親だけ。ですが父はとても厳しく接し、主人公の趣味を非常に嫌います。 多くの男の子が趣味を快活なものを選ぶところ、主人公は手芸やお人形など女の子が好むものに向かいます。 それを父やハウスキーパーは侮蔑し、更には同世代の友にも同じような目を向けられるのでした。 そんな折に主人公の許に現れたひとりの少女。 彼女は不思議な力を持っており、ふと現れては煙のように消えてゆく冥府の住人と思しき存在です。 それでも少女は主人公の趣味を否定などせず、欲しかった言葉をかけてもらい初めて心が安らぐのでした。 中盤以降から少女の存在が明らかとなるかのような描写がございますが、最後の1ページにて考えそのものを覆す結末が待っております。 どうしてもその考えには至らない、驚くべき事実が読んだものに降りかかります。 今度もまた読めない展開に目を瞠りました。 主人公の全てに驚かされて下さいませ。 ありがとうございました。
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