この作品は門出の話だ。 だが、春の青空のもと、晴れ晴れとした門出ーーとは、とても言えない。 うずくような胸の痛みと切なさ、その奥にある、どこか乾いた心をかかえた二人が、一瞬まじわり、それぞれの道へと帰っていくための門出。 親子を演じているようだと感じる青年の心か、ひじょうにリアルで、たとえば恨みつらみを百万語ならべるよりも、わざと注文を変えるあたりに素直になれない複雑な心理を感じます。 あえて成人するまで会わせなかった父は、きっと、息子が感情的にならず、母と向きあえるまで待っていてくれたのでしょう。それまでは、きっと会っても、たがいに傷つくだけだと、わかっていたからではないでしょうか。 さらりと書かれた文章のなかにも、父、母、息子、祖母など、すべての人の心情をうかがわせる描写がひそんでいます。 切ないけれど、未来を感じさせる力強いラストでした。 そして、それらを優しく見守るかのような桜が、ひときわ美しかったです
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わぁ、東堂さん!早速読んでいただいて嬉しいです(〃ω〃) いつも大体の作品がどんでん返しのハッピーエンドだったので今回は少し変化をつけました。 桜には切ないイメージが合うかなと思ったので。いつもどんでん返しする私にはもどかしすぎるラストでしたがこれも中々良かったかなー……と新たな作風が出来たのでまた色々書いてみたいと思います(^-^) 素敵なレビューをありがとうございました!!
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