うたうもの

世界はほんのささいなきっかけで大きく繋がってゆく。 一匹のこぐまのぬいぐるみが魂を得て歩き出したときから、彼はその繋がりを大きく意識していたのだろう。 いや、一匹だけじゃない。 英語を書くフェルカ、スペイン語を書くフェルカ、アラビア語を書くフェルカ、 その他ありとあらゆる言語で話し、文字をしたためるフェルカが、なにかひとつの大きな幸せの輪を信じて、旅を続けていたのだろう。 もちろん、香港の海を自由に泳ぐ泳ぎの得意なフェルカも、少女の元へと帰ってきたフェルカも、同じ思いを胸にして。 世界中の多くの人々と触れ合ったこぐまのぬいぐるみは、その人々のぬくもりやありがたさを伝えるのだ。 そう、この世の中にはいろんな世界が、言語が、人々が、夢が、希望があるのだと。

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