秋寺緋色

「これが皆さんを力づけたり、励みになったりは、ならない場合が多いかなとは思います」――  これが筆者、烏丸輝子氏の作品説明、冒頭の言葉である。  ひとりの人間がその生を生き抜くうえで最も厄介なもの、それはとりもなおさず人間関係だろう。  あちらを立てればこちらが立たず、長いものには巻かれてみたり、未必の故意が間接的イジメになったり……  もう一度端的に言おう。  人生においての最たる厄介ごとは「人間関係」である、と。  そしてもう一度、烏丸輝子氏の言葉を読み返していただきたい。  氏は自身の描きだした作品が読者を救う福音の書になるなどとは間違っても言わない。それどころか「力になったり、励みになったりはしない」とも言っているのだ。  潔い! そしてどれだけ透徹した眼で人生を視ているのだろうか――  とにかく読んでいただきたい。  希望ではない。  絶望でもない。  そこにはありのままの人間模様、人生が描かれている。  救いははない――だが、打ちひしがれる必要もない。  描かれているのは業深き人間が織りなす、アタリマエの世界なのだから――
1件・2件
うわー! またまた素晴らしいレビューありがとうございます!!いろいろなパターンのレビューがお書きになれるんですね?スゴイです。 ただぃま法事で帰省中、帰ったら、また張り切ってレビュー書かせて頂きますよぉー?
1件1件
烏丸さまのレビュー、心をさっと軽やかにつかんでゆく表現に富み、読んでいて思わず顔がほころびます。 ご帰還されましたら、また、ぜひよろしくお願いします! m(_ _)m

/1ページ

1件