青木ぬかり

 読み終えて考えます。  果たしてこの物語は「現実的」なのか「非現実的」なのか……と。  もちろん小説なのですから、必ずしも現実的である必要はありません。  巷には「非現実」で構成される物語が溢れているのですから。  私は本作を「現実的なもの」と評します。  悪い意味ではありません。本作には物語として読み手を満足させるだけの意外性と悲哀があります。  私が現実的だといいたいのは、多感な年頃にある少年少女にとって、色恋を含む人間関係は時として命にかかわる問題に発展するという点においてです。  比較し羨み、あるいは蔑み、妬み……。  抑制する術を身につけぬまま、そういう強い感情に飲み込まれてしまう危うさが現実にあるからです。  私自身はもう子を持つ身ですが、「子が棲む世界」というものを見誤れば失う……。  世の親に警鐘を鳴らす側面を備えた物語だと思いました。
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レビューありがとうございます(*^^*) 僻みや妬み、誰もが持っている他人を羨む感情。 時にそれは、自分でも抑えられない程の大きなものになってしまい、感情に支配された人は思わぬ行動を起こしてしまう。 それは誰にでも起こり得える事で、10代の子供達にとっては学校という限られた世界で、まだ未熟な精神状態の中、とても感情に支配され易いです。 そんな一番人間らしい醜い感情を前面に表現して作った作品です。 そう言った意味では、確かに現実的な物語かもしれません。 決して特別な事ではなく、誰もが感情に支配されてしまう可能性はあります。 ほんの少しのキッカケで、人生が狂ってしまう程の事件にまで発展してし
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