【コメント】

泣き虫な姫と嗤う道化

サークルからまいりました。よろしくお願いします。お転婆で優しいお姫さまと、急峻としたたたずまいを醸し出す宮廷騎士のトスク、そして皮肉屋で目に見える総てを嘲る道化師クロ。語るに華やかりし宮廷生活も、道化師からすればへそを曲げたくなるような現実ばかり。バラの園の中で武芸に勤しむことも、『それなりの男よりも理想の殿方と添い遂げたい』ことも、クロから見れば馬鹿げた夢。バラに棘があるように、痛いくらい絡みあった三者三様。トスクの一途さ。姫の夢も、優しさも、一途に護り通そうとして、ほんとうのところが曝かれるときはじんわりしたものです。ひとりの女性の長い眠りと目覚めの物語。素敵でした。